この記事でできるようになること
- 毎日・毎週のチェックリストを使って、EAの状態を5分で確認できる
- 「止める基準」を先に決めて、感情で判断しない仕組みを作れる
- 月次成績表をつけて、改善(第6章)に戻るタイミングを判断できる
準備するもの
- リアル口座(または継続中のデモ口座)で稼働中のEA
- 記録用のノート、Excel、Googleスプレッドシートなど、なんでも構いません
手順
手順1 「止める基準」を先に決めて書き出す
運用を始めたその日のうちに、次の3つを紙かファイルに書いてください。あとから決めようとすると、含み損を見た瞬間に判断が揺れます。
| 基準 | 決め方の例(あくまで例です) | 自分の値 |
|---|---|---|
| ① 最大ドローダウン(DD)で止める | バックテストの最大DDの1.5倍を超えたら止める。例: バックテストで15%なら、22%を超えたら停止 | ____% |
| ② 連敗数で止める | バックテストの最大連敗数を大きく超えたら止める。例: 過去最大が6連敗なら、10連敗で停止 | ____連敗 |
| ③ 環境の変化で止める | 「約定拒否が1週間に3回以上」「スプレッドがバックテストの2倍以上の状態が続く」など | ______ |
ここで大事なのは「止める = 失敗」ではないことです。止めるのは「バックテストの前提と違う状況になった」というサインを受け取っただけで、第6章に戻って改善すればいいだけです。
一方、止めない基準も決めておきます。「3連敗した」「今週マイナスだった」程度は、バックテストの範囲内なら想定内です。ここで止めてしまうと、EAの本来の成績は永遠に分かりません。
7-3-01.png手順2 毎日のチェック(5分)
毎日1回、決まった時間(朝でも夜でも構いません)にMT4を開き、次を確認します。
- [ ] 右上のマークがニコちゃんになっているか(7-1の手順7)
- [ ] 右下の接続状態に通信速度の数字が出ているか(「回線不通」になっていないか)要確認
- [ ] 「自動売買」ボタンが緑色(ON)のままか
- [ ] 「エキスパート」タブにエラー(赤字や「error」の文字)が出ていないか
- [ ] 「取引」タブの現在の残高・有効証拠金と、含み損益
- [ ] 今日のドローダウンが停止基準①の範囲内か
VPSを使っている場合は、リモートデスクトップで接続して同じことを確認します。Windows Updateで再起動され、MT4が起動していないことがあるので、「MT4が起動しているか」を最初に見てください。
7-3-02.png手順3 毎週のチェック(15分)
週末(土曜日は相場が閉まっているので落ち着いて見られます)に、次を確認します。
- [ ] 今週の取引回数(バックテストの週平均と極端に違わないか)
- [ ] 今週の損益と、運用開始からの累計損益
- [ ] 運用開始からの最大ドローダウン(停止基準①との比較)
- [ ] 現在の連敗数(停止基準②との比較)
- [ ] 「エキスパート」タブに約定拒否やスリッページの記録が何回あったか(停止基準③との比較)
- [ ] 来週に大きな経済指標(米雇用統計、各国の政策金利発表など)があるか
最後の経済指標については、「EAを止める」か「そのまま動かす」かを事前に決めておきます。バックテストでは指標の日も含めて検証しているはずなので、基本は「そのまま」で構いません。ただし、スプレッドが極端に広がる時間帯を避けたいなら、第6章の時間帯フィルターを使います。
7-3-03.png手順4 月次成績表をつける
月に1回、次の表を埋めます。ExcelやGoogleスプレッドシートにコピーして使ってください。数字はMT4の「口座履歴」タブで期間を指定し、右クリック→「レポートの保存」で出るレポートから拾えます要確認。
| 項目 | 記入例(例示) | 1月 | 2月 | 3月 | … |
|---|---|---|---|---|---|
| EA名・バージョン | MA_Cross_Sample v1.2 | ||||
| 通貨ペア・時間足 | USDJPY H1 | ||||
| ロット数 | 0.01 | ||||
| 取引回数 | 18回 | ||||
| 勝率 | 44% | ||||
| 月間損益(円) | +1,240円 | ||||
| 累計損益(円) | +2,890円 | ||||
| 月内の最大DD(%) | 8.5% | ||||
| 運用開始からの最大DD(%) | 12.0% | ||||
| 最大連敗数 | 4 | ||||
| 約定拒否・スリッページ回数 | 2回 | ||||
| プロフィットファクター(月間) | 1.35 | ||||
| 停止基準に触れたか | いいえ | ||||
| メモ(気づいたこと) | 月末の指標でスプレッド拡大 |
※ 記入例の数値はすべて説明用の例で、実際の成績を示すものではありません。
この表は、次の3つの場面で役立ちます。
- バックテストとの比較: バックテストの月平均と並べて、「明らかに違う」を数字で判断できる
- 改善の効果測定: 第6章に戻ってEAを直したあと、直す前と後で比べられる
- 確定申告: 海外業者の損益は自分で集計する必要があります(詳しくは付録E)
7-3-04.png手順5 稼働ログを残す
成績表とは別に、「いつ・何をしたか」の簡単なログをつけます。1行で十分です。
2026/09/01 リアル稼働開始。Lots=0.01、SL30/TP50、残高 10,000円(例)
2026/09/14 VPSが再起動していた。MT4を手動で起動(約6時間停止)
2026/09/21 雇用統計の直前に約定拒否1回。ログ保存済み
2026/10/01 9月分の成績表を記入。停止基準に触れず、継続
「なぜ成績が変わったのか」を後から振り返るとき、このログがないと「EAが悪いのか、環境のせいなのか」が分からなくなります。
7-3-05.png手順6 止めたあとにやること
停止基準に触れたら、次の順番で動きます。
- ツールバーの「自動売買」をOFFにする(新規注文が止まります。保有中のポジションは残ります)
- 保有ポジションをどうするか決める。「EAの決済条件に任せる」「手動で決済する」のどちらでも構いませんが、決めたら記録します
- 「口座履歴」からレポートを保存する
- 第6章の改善プロンプト(付録Bの「3. バックテスト結果をもとに改善してもらうプロンプト」)に、リアルの結果を入れてChatGPTに相談する
- 改善したEAは、再びバックテスト → デモ → 少額リアルの順に戻す
改善したEAをいきなりリアルに戻さないことが大切です。遠回りに見えますが、この繰り返しが「自分で直せる自作EA」の一番の強みです。
7-3-06.png手順7 「やめ時」と「続け時」の考え方
最後に、EA運用全体の「やめ時」についてです。
続けてよいサイン
- 停止基準に触れていない
- 取引回数・勝率・DDがバックテストの範囲内で推移している
- 毎日のチェックが習慣になっていて、負担になっていない
一度立ち止まるサイン
- 停止基準に触れた
- 相場環境が明らかに変わった(例: 長くレンジだった通貨ペアが強いトレンドに入った)
- 「取り返したい」「ロットを上げたい」という気持ちが出てきた
3つ目は特に重要です。この気持ちが出てきたときは、EAではなく自分が運用の一番のリスクになっています。ロットは、月次成績表が3ヶ月以上安定してから、最小単位ずつ上げるくらいの慎重さで十分です。上げるかどうか、いくら上げるかは、ご自身で決めてください。
つまずきポイント
- 毎日見ていると不安になって止めてしまう … 「毎日のチェック」は機械的に確認するだけで、判断は「停止基準」だけで行う、と決めておきます。判断基準を紙に書いて、モニターの横に貼るのも有効です。
- 成績表をつけるのが面倒で続かない … 最初は「月間損益」「最大DD」「取引回数」の3項目だけでも構いません。続けることが最優先です。
- 停止基準を後から緩めたくなる … 緩めるなら、必ず「相場が動いていない土日に」「理由をログに書いてから」にします。含み損を見ながら緩めるのは避けてください。
- VPSの再起動で長時間止まっていた … MT4を「スタートアップ」に登録すると、再起動後に自動起動できます(ただしログインが自動で行われる設定になっているか確認します)要確認。
- バックテストと違いすぎて、何を直せばいいか分からない … 月次成績表とリアルのレポートをそのままChatGPTに渡し、「バックテストとの差の原因として考えられること」を聞くのが早道です。
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ここまでで、本スクールのカリキュラムは完了です。付録には用語集、プロンプト集、エラー対処一覧、サンプルEA、免責事項をまとめています。→ 付録A 用語集