この記事でできるようになること
- バックテストのレポートを「見る順番」どおりにチェックできる
- 純益・プロフィットファクター・最大ドローダウン・取引数・勝率・期待利得の意味が分かる
- レポートを保存して、あとで比較できる形で残せる
準備するもの
- 前の記事でバックテストを完了させたMT4(ストラテジーテスターに結果が残っている状態)
手順
手順1 「グラフ」タブと「レポート」タブを開く
テストが終わると、ストラテジーテスターのパネル下部にタブが並びます。使うのは主に次の2つです。
- 「グラフ」タブ: 口座残高の推移が折れ線グラフで表示されます。
- 「レポート」タブ: 成績が数字の一覧で表示されます。
「結果」タブには1回1回の取引の一覧が出ますが、まずはグラフとレポートを見られれば十分です。
レポートには多くの数字が並んでいて、全部を見ようとすると迷子になります。そこで本スクールでは、次の順番で見ることにします。
- グラフの形
- プロフィットファクター
- 最大ドローダウン
- 総取引数
- 勝率
この順番にする理由は、「上の項目で落第なら、下の項目を見るまでもない」からです。1つずつ説明します。
手順2 ①グラフの形を見る
「グラフ」タブを開きます。横軸が取引の回数、縦軸が口座残高です。数字を見る前に、まず線の「形」だけを見てください。
- 良い形: 左下から右上へ、なだらかに、ほぼ一直線に上がっていく
- 悪い形: 上がったり下がったりが激しい/途中で大きく落ち込んでいる/ある一点だけ急に跳ね上がっている
「なだらかな右肩上がり」がよいのは、利益が特定の時期に偏らず、コツコツ積み上がっている証拠だからです。逆に、1か所だけ急に跳ね上がっているグラフは、たまたま大きく勝った1回に成績全体が支えられている可能性があります(このことは次の記事でさらに掘り下げます)。
手順3 ②プロフィットファクター(PF)を見る
「レポート」タブに切り替えます。「プロフィットファクタ」という項目を探してください。要確認
プロフィットファクター(PF)は、「総利益 ÷ 総損失」です。勝った取引の利益を全部足したものを、負けた取引の損失を全部足したもので割った値で、たとえばPF 1.5なら「損失1に対して利益1.5」という意味です。
- PF 1.0未満: 損失の方が大きい(トータルで負け)
- PF 1.0: 損益トントン
- PF 1.3以上: まずまず(合格ラインの目安)
- PF 2.0以上: かなり良い。ただし高すぎる場合は「過去に合わせすぎ」を疑う(第6章)
合格ラインはあくまで目安です。PFが1.3を超えていれば「先に進んでよさそう」、1.0を下回っていれば「改善が必要」と判断する、くらいの使い方にしてください。
手順4 ③最大ドローダウンを見る
「最大ドローダウン」の項目を探します。要確認金額と、カッコ内にパーセントが表示されています。
ドローダウンとは、口座残高が「一番増えたところ」から「どれだけ減ったか」のことです。最大ドローダウンは、テスト期間中で一番大きかった落ち込みです。たとえば残高が120万円まで増えてから96万円に減った場合、20%の落ち込み、つまりドローダウン20%です。
この数字は「このEAを使うと、途中でこれくらい減る場面に耐える必要がある」という意味です。テストで20%なら、実際の運用ではそれ以上減る可能性も見ておくべきです。
- 20%以下: 目安としての合格ライン
- 30%以上: 精神的にも資金的にも耐えにくい。改善が必要
この目安はあくまで一例で、「自分ならどこまで減っても続けられるか」を基準に決めるのが本来の考え方です。
手順5 ④総取引数を見る
「総取引数」を確認します。要確認テスト期間中に何回売買したかの数です。
回数が少ないと、たとえPFやドローダウンが良くても、それが「実力」なのか「たまたま」なのか区別がつきません。コインを3回投げて3回表が出ても「このコインは表が出やすい」とは言えないのと同じです。
- 100回以上: 目安としての合格ライン
- 30回未満: 数字がどれだけ良くても判断材料として弱い
取引数が足りないときは、テスト期間を長くするか、そもそもEAのエントリー条件が厳しすぎないかを見直します。
手順6 ⑤勝率を見る
MT4のレポートには「勝率」という行はありません。代わりに「勝トレード(全体の%)」と「負トレード(全体の%)」という項目があり、カッコ内のパーセントが、全取引に占める勝ち・負けの割合を表します。ここでは「勝トレード(全体の%)」のパーセントを、勝率として見ます。
初心者の方が一番気にしがちなのが勝率ですが、実は順番としては最後でよい項目です。理由は、勝率が低くても「勝つときは大きく、負けるときは小さく」なら利益が出ますし、勝率が高くても「勝ちは小さく、負けは大きく」なら損をするからです。
サンプルEAは利確50pips・損切り30pipsなので、1回の勝ちが1回の負けより大きい設計です。この場合、勝率が40〜50%程度でもトータルでプラスになりえます。「勝率が50%を切っているからダメ」と決めつけないでください。
勝率は、PFや期待利得とセットで見て初めて意味を持つ数字です。
手順7 純益と期待利得も確認する
順番の5つに加えて、次の2つも見ておきましょう。
純益: テスト期間全体の利益から損失を引いた、最終的な損益です。プラスかマイナスかは一目で分かる一方、「初期証拠金に対してどれくらいか」「何年でこの額か」も一緒に見ないと評価できません。100万円で3年間テストして純益5万円なら、年あたり2%弱です。
期待利得: 1回の取引あたりの平均損益です。「純益 ÷ 総取引数」に相当します。たとえば期待利得が+800円なら、「この取引を1回すると平均800円増える見込み」という意味で、プラスであることが最低条件です。これが小さすぎると、スプレッドや約定のずれで実運用ではマイナスになりかねません。
手順8 良い結果と悪い結果を見比べる
言葉だけでは分かりにくいので、2つの架空のレポートを並べます。数字は例です。
| 項目 | 見る順 | 良い結果の例 | 悪い結果の例 | 目安 |
|---|---|---|---|---|
| グラフの形 | ① | なだらかな右肩上がり | 上下が激しい/後半で急落 | 右肩上がり |
| プロフィットファクター | ② | 1.45 | 0.85 | 1.3以上 |
| 最大ドローダウン | ③ | 12% | 28% | 20%以下 |
| 総取引数 | ④ | 180 | 45 | 100以上 |
| 勝トレード(全体の%) | ⑤ | 46% | 38% | PFとセットで判断 |
| 純益 | 補足 | +145,000円 | -12,000円 | プラス |
| 期待利得 | 補足 | +805円 | -267円 | プラス |
「良い結果の例」は、目安をすべて満たしており、次の記事で「疑う視点」でチェックする価値があります。「悪い結果の例」は、PFが1.0未満で純益もマイナスなので、第6章で改善に取り組む対象です。
繰り返しになりますが、この表の「目安」を満たしたからといって、実際の運用で利益が出ることが保証されるわけではありません。「次の段階に進んでよいかどうか」を判断するための足切りラインと考えてください。
手順9 レポートを保存する
あとで比較できるように、レポートをファイルに残します。
- 「レポート」タブの上で右クリックします。
- 「レポートの保存」を選びます。要確認
- 保存先とファイル名を指定します。ファイル名には「EA名_通貨ペア_時間足_期間_スプレッド」のように条件を入れると便利です。例:
MA_Cross_USDJPY_H1_2023-2025_sp20.htm - HTML形式で保存されるので、ブラウザで開くとグラフ付きのレポートが表示されます。
第6章では、このレポートの数字をChatGPTに渡して改善案をもらいます。保存を習慣にしておきましょう。
つまずきポイント
- 項目名が記事と少し違う: MT4のバージョンや言語設定で表記が異なることがあります。「プロフィットファクタ」「最大ドローダウン」「総取引数」「勝トレード(全体の%)」など、近い名前の項目を探してください。
- 最大ドローダウンの%が「相対ドローダウン」と違う: レポートには「絶対」「最大」「相対」の3種類のドローダウンがあります。本スクールでは「最大ドローダウン」のカッコ内の%を見ます。
- 勝率が高いのに純益がマイナス: 「勝ちが小さく負けが大きい」典型です。「平均勝トレード」と「平均敗トレード」の項目を比べると原因が見えます。要確認
- 「モデリング品質」が90%未満: MT4標準データの場合、90%程度になるのが一般的です。要確認「n/a」と表示される場合は、モデルが「全ティック」になっていないか、1分足データが不足しています。前の2つの記事を見直してください。
- どの数字が良いのか結局分からない: 迷ったら「グラフの形」と「PF」の2つだけに絞って判断して構いません。慣れてきたら残りの項目を加えていきましょう。
次の記事
5-4 結果を疑う視点 で、良さそうに見える結果が本当に信用できるかを確かめる方法を学びます。