この記事でできるようになること
- 「良さそうに見える結果」が本当に信用できるかを、4つの視点でチェックできる
- スプレッドを広げたテスト、期間を前半/後半に分けたテストを自分で実行できる
- 「このEAは先に進めてよいか、改善に戻るか」を自分で判断できる
準備するもの
- 前の記事までで、バックテストを1回完了させたMT4
- 前の記事で保存したレポート(比較に使います)
- メモ帳やExcelなど、結果を書き留めるもの
手順
手順1 「良い結果」を疑う理由を知る
前の記事で目安をクリアしたEAができると、すぐにでも動かしたくなります。ですが、その前に一度立ち止まってください。
バックテストは「過去のデータに対しては」こう動いた、という記録にすぎません。過去にたまたま合っていただけで、未来には通用しない結果は珍しくありません。「良い結果」と「信用できる結果」は別物です。
この記事では、次の4つの視点で結果を疑います。
- 取引回数が少なすぎないか(たまたまではないか)
- 特定の時期だけで儲かっていないか(再現性があるか)
- スプレッドを広げても勝てるか(コストに強いか)
- 期間を変えても勝てるか(前半/後半で分けて検証)
4つすべてを通過して初めて、「デモ口座で動かしてみる価値がある」と言えます。逆に、どれか1つでも引っかかったら、第6章の改善に進みます。
手順2 視点① 取引回数が少ない = たまたま
レポートの「総取引数」をもう一度見ます。
3年間のテストで取引が20回しかなければ、たとえPFが2.0でも、それは「20回のうち、たまたま良い方に転んだ」だけかもしれません。回数が少ないほど、1回の大勝ち・大負けが全体の数字を大きく動かします。
目安として、100回未満なら「判断保留」、30回未満なら「この結果では判断できない」と考えてください。
回数が少ないときの対処は次の2つです。
- テスト期間を長くする(例: 3年 → 5年)
- EAの条件が厳しすぎないか、第6章でChatGPTに相談する
回数を増やすために時間足を短くする(H1 → M15など)方法もありますが、EAの性格が変わってしまうので、最初のうちはおすすめしません。
手順3 視点② 特定の時期だけで儲かっていないか
「グラフ」タブの残高曲線をもう一度見てください。次のような形は要注意です。
- 横ばいが続いたあと、1か所だけ急に跳ね上がって、あとはまた横ばい
- 前半は右肩上がりなのに、後半はずっと横ばいか右肩下がり
前者は「ある1か月の大相場で偶然大きく勝った」だけの可能性があります。後者は「相場の性質が変わって、EAが通用しなくなった」サインです。どちらも、これから先の相場で同じことが起きる保証はありません。
確かめ方は簡単です。
- 「結果」タブを開き、取引一覧の「損益」の列を見ます。要確認
- 大きな利益の取引が、特定の月に固まっていないか確認します。
- 一番大きな利益の取引を1つ除いたとしたら、純益がプラスのままかを暗算してみます。
「1回の大勝ちを除いたらマイナス」なら、そのEAの実力はマイナス寄りだと考えた方が安全です。
手順4 視点③ スプレッドを広げても勝てるか
実際の運用では、経済指標の発表時や早朝など、スプレッドが普段の2〜3倍に広がる場面が必ずあります。テストではスプレッド20(2.0pips)で固定していましたが、それより広くても成績が保てるかを確かめます。
- ストラテジーテスターの「スプレッド」の欄を「30」に変えます。ほかの設定はそのままにします。
- 「スタート」を押して、テストをやり直します。
- レポートを保存します(ファイル名に
sp30と入れておきます)。 - 同じことを「40」でも行います。
3つの結果を表にします。数字は例です。
| スプレッド | PF | 最大DD | 純益 |
|---|---|---|---|
| 20 | 1.45 | 12% | +145,000円 |
| 30 | 1.28 | 15% | +98,000円 |
| 40 | 1.10 | 19% | +32,000円 |
スプレッドを広げると成績が下がるのは当然です。見るべきは「下がり方」です。この例のように、なだらかに下がって40でもプラスを保っていれば、コストに対してそれなりに強いEAだと言えます。逆に、30にした時点でPFが1.0を割るようなら、実運用ではほぼ確実にテストより悪くなります。
サンプルEAは利確50pips・損切り30pipsなので、スプレッド2pips分の影響は比較的小さめです。もし利確が10pipsのようなEAだと、スプレッドの影響はずっと大きくなります。
手順5 視点④ 期間を前半/後半に分けて検証する
4つの中で一番重要な視点です。「3年間まとめて」の成績が良くても、その内訳が「前半だけ絶好調、後半は負け続け」だったら、これから先も負け続ける可能性が高いからです。
やり方
- 全期間のテスト条件を確認します。例として「2023.01.01〜2025.12.31」の3年間とします。
- これを前半と後半のほぼ半分に分けます。
- 前半: 2023.01.01〜2024.06.30
- 後半: 2024.07.01〜2025.12.31
- ストラテジーテスターの「期間を指定」で、まず前半の開始日・終了日を入力します。ほかの設定(通貨ペア、時間足、モデル、スプレッド、初期証拠金、パラメータ)はすべて全期間のときと同じにします。
- 「スタート」を押し、終わったらレポートを保存します(ファイル名に
前半と入れます)。 - 次に後半の開始日・終了日を入力し、同様にテストして保存します。
- 全期間・前半・後半の3つを表にまとめます。
| 期間 | PF | 最大DD | 総取引数 | 純益 |
|---|---|---|---|---|
| 全期間(2023〜2025) | 1.45 | 12% | 180 | +145,000円 |
| 前半(2023.01〜2024.06) | 1.52 | 9% | 92 | +80,000円 |
| 後半(2024.07〜2025.12) | 1.38 | 12% | 88 | +65,000円 |
判断のしかた
- 前半・後半ともPFが1.0を超えている → 合格。相場が変わっても崩れにくい傾向があります
- どちらか一方だけプラスで、もう一方はマイナス → 不合格。良かった時期の相場に偶然合っていただけの可能性が高いです
- 両方プラスだが、片方だけ極端に良い → 保留。良かった方の期間に大勝ちが偏っていないか、手順3の視点で確認します
「前半・後半ともプラス」であっても、それは「過去2つの期間で通用した」という意味で、未来を保証するものではありません。それでも、「全期間の数字だけ見て決める」より、はるかに信頼できる判断になります。
手順6 結果をまとめて、次に進むか決める
4つの視点の結果を1枚にまとめます。
| 視点 | 結果 | 判定 |
|---|---|---|
| ① 取引回数 | 180回 | OK |
| ② 特定時期の偏り | 大勝ち1回を除いてもプラス | OK |
| ③ スプレッド40 | PF 1.10、純益プラス | OK |
| ④ 前半/後半 | 両方PF 1.3以上 | OK |
- すべてOK → 第6章を読んだうえで、第7章のデモ口座でのフォワードテストに進めます
- 1つでもNG → 第6章の改善サイクルに進みます
NGが出てもがっかりする必要はありません。最初のバックテストで4つすべてを通過するEAはむしろ少数です。「どこがNGだったか」が分かっていれば、第6章でChatGPTに的確に相談できます。
つまずきポイント
- 前半と後半で取引数の合計が全期間と一致しない: 期間の境目をまたぐポジションの扱いで、1〜2回ずれることがあります。気にしなくて大丈夫です。
- 前半/後半のテストで、全期間と違う設定を使ってしまった: スプレッドや初期証拠金が変わると比較になりません。全期間のときのメモを見ながら、日付以外はすべて同じにしてください。
- スプレッドを広げたら取引数が変わった: 損切りや利確に到達するタイミングが変わるため、取引数は多少変動します。数回程度のずれなら正常です。
- どの視点もぎりぎり合格で判断に迷う: 迷ったら「保留」にして、第6章の改善を1〜2回試してから、もう一度この記事の4つの視点でチェックしてください。ぎりぎりのEAを急いで動かすメリットはありません。
- チェックが面倒に感じる: この記事の作業は、1回30分もかかりません。デモ口座で1か月動かして「やっぱりダメだった」と分かるより、はるかに安上がりです。
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6-1 改善のサイクル で、バックテストの結果をChatGPTに渡して、EAを1か所ずつ改善する方法を学びます。